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あなたは苦しみがない世界に住みたいですか?

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みなさんの中で、苦しいことが大好きだという人はいますか?

こんな質問をしてもほとんどの人は『NO』だと答えるでしょう。
まあなかには『YES』という人もいるかもしれませんが(笑)
人は基本的に、苦しいこと、つらいこと、不安になることが大嫌いです。

家族と仲が悪い。
仕事がつらい。
恋愛がうまくいかない。
勉強がはかどらない。

苦しい理由、つらい理由、不安になる理由は人によっていろいろあるでしょうが、こういった苦しみは心を曇らせ、やる気を奪います。
人はその苦しみから逃れたくて、様々な解決策を案じては実行を繰り返すのです。

では、もし一切の苦しみ、つらさ、不安が無い世の中だったとしたら、人は幸福になれるのでしょうか?
そういった心にストレスを感じさせるものをまったく感じない世界です。

もしかしたら皆さんは、そんな世界に生まれることが出来たら、どんなに幸せだっただろうなどと考えてしまうかもしれません。

では想像してみて下さい、苦しみ・つらさ・不安などネガティブ要素となるものがまったくない世界を。


まず、あなたは悩みません。
なぜなら問題が起こっても焦りがないので悩む必要がないのです。

あなたは泣きません。
なぜなら悲しみを感じないので泣く必要がないのです。

あなたは寝ません。
なぜなら眠いという苦しみを感じないので寝る必要がないのです。

あなたは食べません。
なぜなら空腹というつらさを感じないので食べる必要がないのです。

あなたは働きません。
なぜなら生活していくという不安を感じないので働く必要がないのです。

あなたは学びません。
なぜなら無知という恥を感じないので学ぶ必要がないのです。

あなたは頑張りません。
なぜなら落ちこぼれるという落胆を感じないので頑張る必要がないのです。

あなたは係わりません。
なぜなら孤独という恐怖を感じないので人と係わる必要がないのです。


これを読んで皆さんは極端だと笑ってしまうかもしれませんが、もし人が苦しみを感じなくなったらあっという間に堕落し、何もしなくなり、人類は進化を止めて退化していくことでしょう。

実は人に限らず、生命が行動し進化していくための基本の基本は、苦しみから逃れるためなのです。

人が寝るのはなぜなのか?
それは「寝ないと死んでしまうから眠る」とか「美容のために眠る」わけではなくて、単純に眠いという現実的な苦しみから逃れたいので眠るのです。

なぜ目覚めると起きるのかといえば、寝続けることが苦しくなって起きるのです。

なぜご飯を食べるのかといえば、空腹のつらさに耐えかねて食べるのです。

なぜご飯を残すのかといえば、満腹感につらさを憶えて食べるのを止めるのです。

このように人の行動のもとになるものは、すべて苦しみからの脱却というシンプルな動機によるのです。

その昔、仏教をひらいたブッダは気絶するまで息を止める「断息」という荒行をしたそうです。
それはブッダが行なった修行の中でも1、2を争うほど、苦しい行だったそう。

そして人が息をするのは生きるためではなく、苦しいからするのだと悟りました。

苦しみ、悲しみ、つらさ、不安、恐怖 etc・・・

こういったネガティブで一見すると人の歩みを止めてしまうように感じるものが、実は人を前進させ、進化させるエネルギーにもなっているのです。

苦しみがあるからこそ人は耐え、学び、頑張り、乗り越え、成長できる。

そう考えれば、今あなたが感じている苦しみにも意味があるのだと気付けます。



バンコクより
白石

smiling again